エクセルでデータのばらつきを数値で把握したいとき、「分散」を使うと便利です。
でも、「VAR関数とVARP関数の違いは?」「標準偏差とどう違うの?」と迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
この記事では【Excel】エクセルで分散の出し方(VAR関数・標準偏差との関係・母分散と標本分散)について解説していきます。
ポイントは
・分散は標準偏差の二乗であり、ばらつきの大きさを表す
・母分散と標本分散の違いを理解して使い分けることが重要
です。
それでは詳しく見ていきましょう。
分散とは何か(基本の考え方)
分散とは、データが平均値からどれくらい離れているかを表す指標です。
具体的には、各データと平均値との差(偏差)を二乗したものの平均が分散になります。
分散が大きいほどデータのばらつきが大きく、分散が小さいほどデータが平均値の近くに集まっていることを意味します。
たとえば、毎日の売上金額が安定しているお店と、日によって大きく変動するお店では、後者のほうが分散は大きくなります。
分散はデータのばらつきを定量的に把握するための基本的な統計量であり、品質管理や業績分析など幅広い場面で活用されます。
エクセルでは分散を計算するための専用関数が複数用意されており、目的に応じて使い分けることができます。
エクセルで分散の出し方1【VAR関数で標本分散を求める】
エクセルで分散を計算する最も基本的な方法が、VAR関数を使う方法です。
VAR関数は標本分散を計算する関数で、データの一部(標本)からデータ全体のばらつきを推定する際に使用します。
以下のようなサンプルデータを使って説明します。

VAR関数の書き方
VAR関数の構文は以下のとおりです。
数値の部分にはデータ範囲を指定します。
上記のサンプルデータであれば、C2セルに以下のように入力します。
この数式を入力してEnterキーを押すと、標本分散が計算されて表示されます。


VAR関数はデータの一部(標本)から全体のばらつきを推定するため、データ数から1を引いた値(n-1)で割る不偏分散の計算式を使用しています。
これをベッセルの補正と呼び、標本から母集団のばらつきをより正確に推定するための工夫です。
VAR関数の計算の仕組み
VAR関数の内部では、まず全データの平均値を求め、各データと平均値の差(偏差)を計算します。
次にその偏差をそれぞれ二乗し、すべての二乗偏差の合計をデータ数から1を引いた値(n-1)で割ることで標本分散を求めます。
数式で表すと以下のようになります。
この計算をエクセルで手動で行うこともできますが、VAR関数を使えば一発で結果が得られます。
データ数が多い場合ほど、関数を活用するメリットが大きくなります。
VAR関数使用時の注意点
VAR関数はデータ範囲に文字列や空白が含まれていても、それらを自動的に無視して計算します。
ただし、論理値(TRUEやFALSE)は無視されるため、論理値も含めて計算したい場合はVARA関数を使用する必要があります。
また、データが1つしかない場合はエラーが返されるため、必ず2つ以上のデータが含まれる範囲を指定しましょう。
・=VAR(範囲)で標本分散を計算できる
・内部では(n-1)で割る不偏分散の計算式を使用している
・文字列や空白は自動的に無視される
エクセルで分散の出し方2【母分散と標本分散の違いを理解する】
エクセルには分散を計算する関数が複数あり、それぞれ「母分散」と「標本分散」のどちらを計算するかが異なります。
この違いを正しく理解することが、適切な関数を選ぶうえで重要です。
以下のサンプルデータを使って比較してみましょう。
| 行 | A列:日付 | B列:カボチャの出荷重量(kg) |
|---|---|---|
| 1 | 日付 | 出荷重量 |
| 2 | 1日 | 120 |
| 3 | 2日 | 135 |
| 4 | 3日 | 98 |
| 5 | 4日 | 150 |
| 6 | 5日 | 112 |
母分散とVARP関数
母分散とは、調査対象となるデータ全体(母集団)のばらつきを表す分散です。
たとえば、ある工場で生産されたすべての製品の重量データを持っている場合、それが母集団となります。
エクセルで母分散を計算するにはVARP関数を使用します。


VARP関数の内部ではデータ数(n)でそのまま割るため、標本分散より若干小さい値が返ってきます。
数式で表すと以下のようになります。
手元にあるデータがデータ全体(母集団)である場合はVARP関数、データの一部(標本)である場合はVAR関数を使うのが正しい選択です。
VAR.S関数とVAR.P関数(新しい書き方)
Excel 2010以降では、VAR関数の後継としてVAR.S関数、VARP関数の後継としてVAR.P関数が追加されています。
VAR.S関数はVAR関数と同じ標本分散を計算し、VAR.P関数はVARP関数と同じ母分散を計算します。
新しいバージョンのエクセルを使用している場合は、より明示的なVAR.SやVAR.Pを使うことをおすすめします。
=VAR.P(B2:B6) ←母分散(VARP関数と同じ結果)
母分散と標本分散の使い分け
実務では、調査対象のデータをすべて持っているケースは少なく、多くの場合は一部のデータ(標本)から全体を推定します。
アンケート調査や品質検査のサンプリングなど、一部のデータから全体を推測する場合はVAR関数(またはVAR.S関数)を使いましょう。
一方、クラス全員のテストの点数や、ある月の全取引データなど、対象全体のデータが手元にある場合はVARP関数(またはVAR.P関数)を使います。
・標本分散はVAR関数またはVAR.S関数で計算する(n-1で割る)
・母分散はVARP関数またはVAR.P関数で計算する(nで割る)
・データが全体か一部かによって使う関数を使い分ける
エクセルで分散の出し方3【標準偏差との関係を理解する】
分散と標準偏差は密接な関係があり、セットで理解しておくことが重要です。
以下のサンプルデータを使って、分散と標準偏差の関係を確認してみましょう。
| 行 | A列:担当者 | B列:マグロの月間販売数(尾) |
|---|---|---|
| 1 | 担当者 | 販売数 |
| 2 | 田中 | 85 |
| 3 | 鈴木 | 92 |
| 4 | 佐藤 | 78 |
| 5 | 山田 | 101 |
| 6 | 伊藤 | 74 |
分散と標準偏差の関係
標準偏差は分散の正の平方根で求められます。
数式で表すと以下のようになります。
分散の単位は元のデータの単位を二乗したものになるため、直感的に理解しにくいという欠点があります。
たとえばデータの単位が「尾」であれば、分散の単位は「尾²」になってしまいます。
標準偏差は分散の平方根を取ることで元のデータと同じ単位に戻すため、ばらつきの大きさをより直感的に把握できます。
エクセルでの標準偏差の計算方法
エクセルで標準偏差を求めるには、STDEV関数(標本標準偏差)またはSTDEVP関数(母標準偏差)を使います。
VAR関数との対応関係は以下のとおりです。
=STDEVP(B2:B6) ←母標準偏差(VARP関数の平方根)


また、VAR関数の結果をSQRT関数で平方根を取ることでも同じ結果が得られます。
この2つの数式は同じ結果を返すため、どちらを使っても構いません。
分散と標準偏差をどう使い分けるか
分散は統計的な計算(回帰分析や分散分析など)に使われることが多く、標準偏差は現場でのデータのばらつきを説明する際によく使われます。
たとえば製造業での品質管理では、製品の寸法のばらつきを標準偏差で表すことが一般的です。
一方、統計モデルの構築や機械学習の前処理では分散がよく使われます。
目的に応じて使い分けることが、データ分析の精度を高めるポイントです。
・標準偏差は分散の平方根で求められる
・分散の単位はデータの単位の二乗になるため直感的に理解しにくい
・現場でのばらつき説明には標準偏差、統計計算には分散が向いている
まとめ エクセルの分散の求め方(標準偏差・平均・計算式・母分散と標本分散)
エクセルで分散を出す方法をまとめると、以下のとおりです。
VAR関数(またはVAR.S関数)はデータの一部(標本)から全体のばらつきを推定する標本分散を計算し、n-1で割る不偏分散の計算式を使用します。
VARP関数(またはVAR.P関数)はデータ全体(母集団)のばらつきを表す母分散を計算し、nで割る計算式を使用します。
標準偏差は分散の平方根であり、元のデータと同じ単位でばらつきを表すため、現場での説明に適しています。
手元のデータが母集団全体なのか標本なのかを正しく判断して、適切な関数を選ぶことが重要です。
まずはVAR関数とVARP関数の違いを押さえ、データの性質に合わせて使い分ける習慣をつけていきましょう。
分散を正しく理解することで、データのばらつきをより深く分析できるようになります。
ぜひ日々のデータ集計や品質管理にお役立てください。


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