物理学や工学の世界では、力の単位としてニュートン(N)と質量の単位であるキログラム(kg)が頻繁に登場します。
これらの単位は異なる物理量を表していますが、日常生活や専門分野では互いに変換する必要がある場面も多いものです。特に重力が関わる計算では、力と質量の関係を正確に理解することが重要になります。
この記事では、ニュートン(N)とキログラム(kg)の違いや換算する方法について解説していきます。
また、単位系の観点からもこれらの関係性を掘り下げていきます。
ニュートン(N)からキログラム(kg)へ換算する方法!kgfとの関係は?
それではまず、ニュートン(N)からキログラム(kg)への換算方法について解説していきます。
一方、キログラム(kg)は質量の単位です。質量と力は異なる物理量なので、単純に等号で結ぶことはできません。
ニュートン(N)からキログラム(kg)への変換には、重力加速度を考慮する必要があります。
地球上での標準重力加速度は約9.80665 m/s²です。
変換式は以下のようになります
単位で考えると、[kg] = [kg·m/s²] ÷ [m/s²] = [kg]ですね。
また、ニュートン基準では次のようにも表現できます[N] = [kg][m/s²] となります。
例えば、100ニュートンの力をキログラムに換算すると
となります。
ここで注意すべき点は、この換算が「その力を生み出すために必要な質量」を意味していることです。
つまり、地球の重力場において、約10.2kgの物体にかかる重力が100Nということになります。
単位の観点から見ると、ニュートン(N)はSI単位系(国際単位系)の力の基本単位です。
その定義は kg·m/s²(キログラム・メートル毎秒毎秒)であり、質量×加速度という次元を持っています。
SI単位系において、ニュートン(N)は複合単位であり、基本単位であるキログラム(kg)、メートル(m)、秒(s)を組み合わせたものです。
という関係があります。
ニュートンとkgf(キログラム重)の意味と違い
ここで、kgf(キログラム重)という単位についても説明しておきましょう。
キログラム重(kgf)は、1キログラムの質量に地球の標準重力加速度がかかったときに生じる力を表す単位です。
1 [kgf] = 9.80665 [N]
となります。
キログラム重は重力単位系に属する単位で、SI単位系には含まれていません。
重力単位系では、力の単位としてkgfを使用し、質量の単位として「技術質量単位」であるhyl(ヒル)やGMU(重力質量単位)を使用します。
kgfは科学的には推奨されていませんが、工学や日常生活では今でも使用されることがあります。
ニュートンとキログラム重の関係を理解すると、ニュートンからキログラムへの変換も別の視点で見ることができます:
[kg] = [N] ÷ 9.80665 [m/s²] = [N] ÷ (1 [kgf]/[kg])
また、単位変換の観点から見ると:
[kg] = [N] × [s²/m]
これは、力の単位[N]に時間の二乗[s²]を掛け、距離[m]で割ることで質量の単位[kg]に変換できることを示しています。
重力以外の力が関わる場合、この換算は「その力を生み出すために必要な質量とその加速度の乗算」という形で考える必要があります。
キログラム(kg)からニュートンへ換算する方法
続いては、キログラム(kg)からニュートン(N)への換算方法を確認していきます。
キログラムからニュートンへの変換は、基本的に先ほどの逆の計算になります。
地球の重力場において、物体の質量(kg)にかかる重力(N)を求める場合、以下の式を使用します:
単位で表すと[kg·m/s²] = [kg] × [m/s²] = [N]
また、逆の視点から見ると[N] = [kg] ÷ [s²/m]
これは、質量の単位[kg]を時間の二乗あたりの距離[s²/m]で割ることで、力の単位[N]に変換できることを示しています。
例えば、5キログラムの物体にかかる重力は
となります。
この計算は「物体が地球上で受ける重力の大きさ」を意味しています。
つまり、5kgの物体は地球上で約49.03Nの力で地面に押し付けられているのです。
余談として月でのキログラムとニュートンの変換も考えてみましょう。
例えば、月では重力加速度が約1.625 [m/s²]なので、5kgの物体にかかる重力は: 5 [kg] × 1.625 [m/s²] ≈ 8.13 [N] となり、地球上の約1/6になります。
まとめ ニュートンの単位は?kgで表す方法も
この記事では、ニュートン(N)とキログラム(kg)の換算方法や違い!単位は?kgf(キログラム重)との関係は?について解説しました。
ニュートンの扱いになれ業務に役立てていただければ幸いです。


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