絵や写真をおしゃれに飾りたい時、雑貨屋などで売られているフレームに入れることがありますよね。
そのフレームのことを「額縁」や、単に「額」などと呼ぶことがあるかと思います。
しかし、それらの意味の違いをしっかりと意識して使い分けられているでしょうか?
「額」や「枠」という言葉は何となくは理解できていても、一文字だけで抽象的ですから明確にどのようなものを指すのか分からない方も多いのではないでしょうか。
今回はそれらの言葉の違いや使い分けを解説します。
額縁と窓枠の違い・意味・使い分けは?
それでは以下で額縁と窓枠の違い・意味・使い分けについて解説していきます。
額縁と窓枠は「縁の部分」ということで共通しているものの、用途に違いがあります。
具体的には「額縁」は絵や写真を飾るためのフレームで、「窓枠」は窓の周りを囲む枠だと思いますよね。
その解釈は間違いとは言い切れないのですが、少し違いがあります。
掘り下げて確認していきましょう。
まず「額縁」はイメージ通り絵などを飾るための枠です。
しかし、その意味だけではないのです。
辞書で調べると、これ以外の意味がいくつか見つけられます。
まず一つ目は、「窓や出入り口などの周囲に飾り付けで付けられる木材」という意味です。
この時点で「窓枠」と似ていることにお気づきかと思います。
二つ目の意味は「劇場の客席と舞台の間の区切り」です。
劇場には、客席から見ると舞台が枠に縁取られたようにデザインされている場合があります。
このようなデザインが施されている場合、その区切りを「額縁」と呼びます。
舞台と客席の間には幕が下がっていることが多いですよね。
あの部分が「額縁」です。
最後に、布団の周りのへりの部分を指して「額縁」と言うこともあります。
以上のように、「額縁」とは「ものの周りを縁取って飾りつけるもの」といったような意味をもつことが分かります。
二つ目の意味が「窓枠」に近い印象をもったかと思います。
「窓枠」とは「窓の周りを囲む枠」のことです。
これには窓のガラス部分やサッシ、レールの部分は含みません。
窓のガラスは建物の外側に向かって出っ張っていて、ガラスの手前に、多くは木でできていて小物を置くことのできるような奥行きがありますよね。
そして、その木製の部分は窓の四方を囲っています。
その木製の部分が「窓枠」です。
もちろん木製でなくても同様の構造であれば「窓枠」と呼びます。
以上のことから、「額縁」はものの周囲の飾り付けの枠を指し、「窓枠」はそれに含まれるということになります。
しかしながら、「窓枠」のことを指して「額縁」と呼ぶことは一般的には少ないかと思います。
使い分けとしては、絵や写真の枠のことは「額縁」、窓に関しては「窓枠」と言えるでしょう。
これまでと使い方はあまり変わりませんが、違いを意識すると言葉の面白さや深みが感じられますね。
額縁と枠の違い・意味・使い分けは?
続いて、額縁と枠の違い・意味・使い分けについても確認してみましょう。
額縁と枠の違いは、その抽象度(具体度)にあるといえます。
掘り下げて考えていきます。
「枠」とは「物の周りを囲んだり支えたりする構造」や、抽象的な意味では「範囲や限界」といった意味をもちます。
「木枠」や「外枠」という言葉がありますよね。
それらのイメージ通り、何かの周りを囲うもののことを「枠」と呼びます。
また、「大枠」といった言葉にみられるように、抽象的に物事の範囲を示すときにも使用されます。
どちらにも共通するのは、何かの周囲を縁取るものといった意味ですね。
対して上述の「額縁」は基本的には抽象的な意味をもっていません。
そして「枠」よりも限定的で、絵や写真、劇場などにのみ用いられます。
このことから、「額縁」は「枠」の中に含まれるということが分かりますね。
具体的にも抽象的にも、広い範囲で使えるのが「枠」ということです。
額縁と額の違い・意味・使い分けは?枠など
額(がく)と額縁の違い・意味・使い分けも見ていきましょう。
額縁と額の違いは「それが枠のみか、その中の作品も該当するか」にあります。
詳細を見ていきましょう。
「額」は色々な場面で使うことがあるのではないでしょうか。
金額を指して「額」といったり、「ひたい」と読んでおでこのことを指したりと、色々な場面で使われます。
「額」は「額縁」のように使われることもありますが、「額縁」が枠のみを指すのに対して、「額」はそこに収められた作品と枠を合わせて全体を指すことが多いです。
似たような意味をもちますが、「額」は金額やおでこの意味を併せ持つと同時に、作品と枠全体を指して使うことがあるのです。
絵が収められたフレームのみを指すときは「額縁」、作品も合わせて全体を指すときは「額」を使うのが適切でしょう。
もちろんフレームのことのみを指して「額」と言うこともできます。
額縁と仮縁の違い・意味・使い分けは?
額縁と仮縁の違い・意味・使い分けについても見ていきます。
額縁と仮縁の違いは、額縁の種類の1つに仮縁があることといえます。
詳細を見ていきます。
「仮縁」とはキャンバスが入るような厚みがある額縁の1種であり、書状などの薄いものには適しません。
そして構造がシンプルでガラスがなく、縁の部分しか保護されていないのが特徴です。
展覧会などで何度も飾り替えられに額縁が痛んでしまうため、このようなシンプルなものを使うということのようです。
ちなみに、ガラスがはめられ、枠が豪華に飾り付けられたものを「本額縁」と呼びます。
まとめ
「額縁」は絵や写真の枠を指し、「窓枠」はその中に含まれる窓の周りを囲むものです。
「枠」は具体的にも抽象的にも、広い意味で使われ、「額縁」はこの中に含まれます。
「額」は金額やおでこといった、フレームという意味とはまた異なった意味でも用いられるのと同時に、フレームだけでなく作品も含めて用いることがあります。
「仮縁」はガラスによる作品の保護がなく、フレーム部分だけの作品の枠です。
以上のように意味の違いや使い分け方が分かりました。
「額縁」というものには普段あまり触れる機会が少ない方が多いと思います。
しかし、このような違いを知っておくことで、美術館に出向いたときや家に芸術作品を飾りたいと思ったときに役立つのではないでしょうか。
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