エクセルで「データのばらつきを数値で表したい」「STDEV関数とSTDEVP関数のどちらを使えばいいかわからない」「グラフに誤差範囲として標準偏差を追加したい」と思ったことはありませんか?
この記事では【Excel】エクセルで標準偏差を求める方法(STDEV・STDEVP・関数の使い分け・グラフへの追加)について解説していきます。
ポイントは
・STDEV関数で標本の標準偏差(不偏標準偏差)を求める
・STDEVP関数で母集団全体の標準偏差を求める
・関数の使い分けの基準を理解する
・グラフに標準偏差を誤差範囲として追加する
です。
それでは詳しく見ていきましょう。
エクセルで標準偏差を求める方法1【STDEV関数で標本の標準偏差を計算する】
まずはサンプルデータを確認しましょう。
以下のような商品別検査データ表を使って解説していきます。

1行目にヘッダーがあり、2行目以降にデータが入力されている前提で解説します。
STDEV関数は、データが母集団全体ではなく「一部のサンプル(標本)」である場合に使う標準偏差の関数です。
統計学では、標本から母集団のばらつきを推定する際に「n-1」で割る不偏分散を使います。
STDEV関数はこの考え方に基づいており、実務でデータの一部を抽出して分析する場面では最もよく使われます。
STDEV関数の基本構文
=STDEV(数値1, 数値2, …)
=STDEV(範囲)
引数には数値を直接入力するか、セル範囲を指定します。
セル範囲で指定する場合は「B2:F2」のように連続したセルをまとめて指定できます。
文字列や空白セルは自動的に無視されます。
実際の数式と解説
カツオ節(B2:F2)の標準偏差をG2セルに求める場合は以下の数式を入力します。範囲はクリック&ドラッグでOKです。
=STDEV(B2:F2)

カツオ節の測定値は82・78・85・80・91で、平均は83.2です。
各値と平均の差の2乗を合計し、データ数から1を引いた「n-1=4」で割った値の平方根がSTDEV関数の結果になります。

この場合の結果はおよそ「5.07」となります。
チョコアソート(55・90・60・88・72)はばらつきが大きいため、標準偏差はおよそ「15.87」と大きな値になります。
一方ハラス切身(91・92・90・93・91)はほぼ均一なデータのため、標準偏差はおよそ「1.14」と非常に小さくなります。
標準偏差の値が大きいほどデータのばらつきが大きく、小さいほど値が平均に集まっていることを意味します。
【操作のポイント】
STDEV関数はExcel 2010以降では「STDEV.S」という名称でも使用できます。
「STDEV.S」はSTDEV関数と全く同じ計算をしますが、関数名がより明示的なため、新しいファイルではSTDEV.Sを使うのもよいでしょう。
エクセルで標準偏差を求める方法2【STDEVP関数で母集団全体の標準偏差を計算する】
STDEVP関数は、手元にあるデータが母集団全体である場合に使う標準偏差の関数です。
STDEV関数が「n-1」で割るのに対して、STDEVP関数は「n」で割って計算します。
全数調査のデータや、対象全員のスコアを持っている場合など、データが完全に揃っているケースで使います。
STDEVP関数の基本構文
=STDEVP(数値1, 数値2, …)
=STDEVP(範囲)
引数の指定方法はSTDEV関数と同じです。
セル範囲をそのまま指定するだけで計算できます。
実際の数式と解説
カツオ節(B2:F2)の母標準偏差をH2セルに求める場合は以下の数式を入力します。
=STDEVP(B2:F2)
カツオ節の場合、STDEV関数の結果がおよそ「5.07」であるのに対して、STDEVP関数の結果はおよそ「4.53」となります。

分母が「n-1=4」から「n=5」に変わることで、値がわずかに小さくなります。
データ数が少ないほどSTDEV関数とSTDEVP関数の差は大きくなり、データ数が増えるほど両者の差は小さくなっていきます。
データ数が十分に多い場合(数百件以上など)は、どちらの関数を使っても結果はほぼ変わりません。
STDEV関数とSTDEVP関数の計算式の違い
2つの関数の違いを数式で確認しましょう。
STDEV関数 → √{Σ(xi-x̄)² ÷ (n-1)} ※不偏標準偏差
STDEVP関数 → √{Σ(xi-x̄)² ÷ n} ※母標準偏差
xiは各データの値、x̄は平均値、nはデータの個数を表します。
STDEV関数は分母が「n-1」になることで、標本から母集団のばらつきを少し大きめに見積もる補正が入っています。
この補正を「ベッセルの補正」と呼び、標本数が少ないほど補正の効果が大きくなります。
【操作のポイント】
STDEVP関数はExcel 2010以降では「STDEV.P」という名称でも使用できます。
古いバージョンとの互換性が必要な場合はSTDEVP、新しい環境で明示的に使いたい場合はSTDEV.Pを選ぶとよいでしょう。
エクセルで標準偏差を求める方法3【STDEV・STDEVP関数の使い分けの基準】
STDEV関数とSTDEVP関数のどちらを使うべきかは、データの性質によって決まります。
「手元のデータが全体か、一部か」という点が使い分けの最大のポイントです。
実務では多くの場合、完全な母集団データを持つことは少なく、サンプリングしたデータを使って分析することが大半です。
STDEV関数を使うべき場面
工場の品質管理で製品の一部を抜き取り検査する場合、アンケート調査で全顧客の一部にのみ回答してもらった場合、実験データとして一部のサンプルを測定した場合などはSTDEV関数が適切です。
「このデータはより大きな集団から取り出した一部である」という前提がある場面では、常にSTDEV関数を選びましょう。
STDEVP関数を使うべき場面
クラス全員のテストの点数を分析する場合、社内の全従業員の評価スコアを集計する場合、ある月の全取引データを対象にする場合などはSTDEVP関数が適切です。
「このデータが分析対象のすべてである」という前提がある場面ではSTDEVP関数を選びます。
迷ったときの判断基準
どちらを使うべきか迷った場合は、基本的にSTDEV関数(またはSTDEV.S)を選んでおくのが無難です。
統計的に安全側の推定になるうえ、実務データの多くは何らかの意味で「母集団の一部」として扱えるケースが多いためです。
また学術論文や品質管理の分野では、特に指定がない限りSTDEV関数(不偏標準偏差)を使うことが一般的です。
【操作のポイント】
エクセルにはSTDEV・STDEVP以外にも、文字列や論理値を含めて計算するSTDEVA・STDEVPAという関数もあります。
通常の数値データのみを扱う場合はSTDEV・STDEVPで問題ありませんが、TRUE/FALSEや文字列が混在するデータを扱う特殊なケースではSTDEVA・STDEVPAを使う場面があります。
エクセルで標準偏差を求める方法4【グラフに標準偏差を誤差範囲として追加する】
標準偏差はグラフの「誤差範囲(エラーバー)」として視覚的に表示することができます。
誤差範囲を追加することで、データのばらつきをグラフ上で一目で把握できるようになります。
科学的なレポートや品質管理のプレゼン資料でよく使われる表現方法です。
グラフへの誤差範囲の追加手順
まず棒グラフや折れ線グラフなど、標準偏差を表示したいグラフをあらかじめ作成しておきます。
グラフをクリックして選択した状態で、右上に表示される「グラフ要素」ボタン(+マーク)をクリックします。

表示されたメニューの中から「誤差範囲」にチェックを入れます。

初期状態では標準誤差や標準偏差が自動で設定されます。
具体的に自分で計算の標準偏差を使いたい場合はさらに設定を変更します。
「誤差範囲」の右にある矢印をクリックして「その他のオプション」を選択します。
「誤差範囲の書式設定」パネルが開いたら、「誤差範囲」のセクションで「標準偏差」を選択します。
倍数を「1」にすると±1標準偏差、「2」にすると±2標準偏差(いわゆる2シグマ)の範囲がグラフに表示されます。

カスタム値で標準偏差を指定する方法
STDEV関数で求めた標準偏差の値をグラフに反映させたい場合は、「カスタム」を選択して値を手動で指定します。
「誤差範囲の書式設定」で「ユーザー設定」を選び、「値の指定」をクリックします。
「正の誤差の値」と「負の誤差の値」の両方に、STDEV関数で求めた標準偏差が入力されているセル範囲を指定します。
カスタム値を使うことで、商品ごとに異なる標準偏差をそれぞれのデータ系列に正確に反映させることができます。
【操作のポイント】
誤差範囲はグラフの種類によって表示方法が異なります。
棒グラフでは縦方向のエラーバーとして表示され、散布図では縦横両方向に設定できます。
折れ線グラフでも同様に各データポイントに誤差範囲を追加できますが、データ点が多い場合は見づらくなるため、データ数に応じて表示方法を工夫しましょう。
まとめ 【Excel】エクセルで標準偏差の出し方(エラーバー・STDEV・STDEVPの違い・条件付き・グラフの作り方・正の誤差や負の誤差)
エクセルで標準偏差を求める方法をまとめると以下のとおりです。
STDEV関数を使う方法では、標本データから不偏標準偏差を求めることができます。
「=STDEV(B2:F2)」のようにセル範囲を指定するだけで、n-1で割った標準偏差が計算されます。
データが母集団の一部である場合に使う関数で、実務では最もよく使われます。
STDEVP関数を使う方法では、母集団全体のデータから母標準偏差を求めることができます。
「=STDEVP(B2:F2)」でnで割った標準偏差が計算され、手元のデータが分析対象のすべてである場合に使います。
関数の使い分けについては、「データが全体か一部か」という点が判断の基準になります。
迷った場合はSTDEV関数を選んでおくのが安全で、統計的にも推奨される選択です。
グラフへの追加については、グラフ要素から「誤差範囲」を追加し、「標準偏差」またはカスタム値を指定することでエラーバーとして視覚的に表示できます。
標準偏差を正しく理解して活用することで、データ分析の精度と説得力が大きく向上するでしょう。


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